「ゴルフのメジャー大会」と言われる大きな試合がありますが、実際にそれはどんな大会なのか、誰がどう格付けを決めているのか知りたいですよね?
この記事では、ゴルフのメジャー大会などの格付けはどう決まっているのか、分かりやすく解説します。
プロ資格を持っているゴルファーが参加できる試合にはさまざまなレベルがあります。その中でも
- 歴史
- 賞金額の大きさ
- 翌年度以降の試合に参加できるシード権の期間
などによって、より格付けの高い試合があり、これらの試合をメジャー大会と呼んでいます。
日本のゴルフの試合と格付けの仕組み
日本のプロゴルフは
- 男子プロ、
- 女子プロ、
- 男子シニアプロ、
- 女子シニアプロ
が参加できる試合があり、それぞれで若干仕組みが違っています。
男子プロの場合
男子プロの場合は
- JGTO(日本ゴルフツアー機構)主催のレギュラーツアー
- その下のランクのABEMAツアー
- そしてレギュラーツアーやABEMAツアーの参加資格を得るためのQT(クォリファイングトーナメント)
が実施され、レギュラーツアーに参加するためには、下のランクのツアーで一定の成績を残さなければなりません。
女子プロの場合
女子プロも同じように
- JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)主催のLPGAツアー
- その下のランクのステップアップツアー
- そしてこれらに参加するためのQT
があります。
メジャー大会とは
レギュラーツアーの中でも格付けの高い大会をメジャー大会と呼んでいて、これらの試合で優勝すると多くのメリットがありますが、メリットよりもプロゴルファーにとって大きな名誉となります。
メジャー大会のメリット
通常の試合と違って、プロゴルファーに大きなメリットとなる点には以下のようなものがあります。
- 優勝者は普通のツアーより長期のシード権を獲得できる
- メルセデスポイントなど各種の格付けポイントで得られるポイント数が多い
- 賞金額が多いので、賞金王獲得に効果的
これらのメリットは翌年以降の試合への出場に大きな影響を与えるので、メジャー大会で良い成績を収めると安定して今後の試合に臨めるようになるのです。
日本のメジャー大会
日本のゴルフメジャー大会は男子が4試合、女子も4試合になっています。それぞれのツアーのメジャー大会について説明しましょう。
日本男子ツアーのメジャー大会一覧
日本男子ツアーのメジャー大会は次の4試合です。
日本オープンゴルフ選手権
1927年から実施されているこの試合は、正式にアマチュアも参加できる試合で、日本ゴルフ協会(JGA)が主催しています。アマチュアはJGAが主催するアマチュアゴルフ選手権である「日本アマチュアゴルフ選手権」と「日本ミッドアマチュアゴルフ選手権」の優勝者が出場できます。

2023年の優勝賞金額は4,200万円でした。
日本プロゴルフ選手権
日本プロゴルフ協会(PGA)が主催している日本プロ選手権は1926年から実施されていて、最も歴史のある大会となっています。出場できるのは144名のプロ資格をもっているゴルファーです。

2023年の優勝賞金は3,000万円でした。
日本ゴルフツアー選手権
日本ゴルフツアー機構(JGTO)が主催する日本ゴルフツアー選手権は2000年に創設され、メジャートーナメントでは最も新しく創設された大会です。2003年からは毎年、茨城県の宍戸ヒルズカントリークラブ西コースで開催されています。

優勝賞金は3,000万円でした。
ゴルフ日本シリーズJTカップ
ゴルフ日本シリーズJTカップは1963年から毎年12月上旬に開催され、日本ツアーの最終戦となっています。主催者は1998年まではPGAでしたが、現在は報知新聞社、読売新聞社、日本テレビ放送網で、試合会場は1995年から東京よみうりCCで開催されています。

優勝賞金は4,000万円でした。
日本女子ツアーのメジャー大会一覧
日本女子ツアーのメジャー大会は次のようになっています。
日本女子オープンゴルフ選手権
男子オープンゴルフと同じく日本ゴルフ協会(JGA)が主催する大会で、1968年からスタート、1971年からJGAが主催して日本女子オープンとなり、プロだけでなくアマチュアにも正式な参加資格が与えられました。優勝賞金は3,000万円で、男子のメジャー大会とそん色のない金額に成長しています。
日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯
JLPGA主催の日本女子プロゴルフ選手権は1968年の第1回大会から続いている、最も歴史の長い大会となっています。優勝賞金金額は3,600万円で最も高額な大会になっています。
ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ
1973年から始まったこの大会は世界各国のトッププロを招へいする目的で開催されました。一般の大会がサーキットシステム(全国のゴルフ場から選ばれたところで、毎年開催コースが変更されるシステム)を取っているのに対して、2009年からは茨城ゴルフ倶楽部で毎年開催されています。優勝賞金は2,400万円になっています。
JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ
1979年から開催されているこの大会は参加人数が40名のみに限定されていて、JLPGAの女子プロの中でもトップクラスの選手のみが参加できる大会です。
優勝賞金は3,000万円です。
世界のメジャー大会
日本のメジャー大会に対して、世界のメジャー大会は歴史、規模ともに比較にならないほど違いがあります。海外ツアーに参戦してメジャー大会に出場することは、日本のプロゴルファーにとって大きな夢の一つです。さらにそこで優勝することは後世に名前を残す栄誉となります。
海外メジャー大会で優勝した日本人プロゴルファー
海外メジャー大会で優勝した日本人プロゴルファーは男子では2021年のマスターズで優勝した松山英樹選手の一人です。
一方、女子は1977年に樋口久子プロが全米女子プロ選手権で、2019年に全英女子オープンで渋野日向子選手が、2021年の全米女子オープンに笹生優花選手が同大会最年少優勝の記録とともにメジャーを獲得しています。
海外男子プロのメジャー大会一覧
マスターズ
1934年から開催されているこの大会は毎年、米国のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで開催されています。優勝者に贈られるグリーンジャケットはとても有名で、このジャケットに腕を通すことは世界のプロゴルファーの憧れの一つになっています。
2021年に松山英樹選手がアジア人で初めて優勝しました。
全米オープン
全米オープンは1895年から開催されています。この大会はアメリカだけでなく、日本やイギリスでも予選会が実施されていて、通過すると参加資格が得られます。もちろん各国のツアーの成績上位者にも参加資格は与えられます。
優勝賞金は360万ドル(約5.2億円)でメジャー史上、最も高額な大会になっています。
全米プロ
1916年から開催されているこの大会はPGA所属のプロゴルファーだけが参加できる大会です。優勝賞金は315万ドル(約4.6億円)です。
全英オープン
全英オープンは1860年から開催され、世界で最も歴史のある大会です。英語での正式名称はジ・オープン(The Open Championship)で全英やゴルフという単語は含まれていません。これは長い歴史の中で他に似たような大会が開催されていなかったため、この名称だけでイギリスのゴルフの大会だと認識できたからです。優勝賞金は約4.3億円です。
海外女子プロのメジャー大会一覧
全米女子オープン
1946年に第1回大会が行われ、最も歴史の古い女子プロのメジャー大会です。男子の全米オープンとは異なり、世界的に統一されたメジャー選手権ではないので、日本の女子ツアーや欧州の女子ツアーは組み込まれていません。
笹生優花が畑岡奈紗との日本人同士のプレーオフの結果、2021年の大会で優勝しています。優勝賞金は180万ドル(約2.6億円)で最も高額な女子プロのメジャー大会です。
全米女子プロ
この大会の正式名称は「女子PGA選手権(Women’s PGA Championship)」で全米女子プロという名称は通称名です。1955年に第1回が開催されプロ登録の選手のみが出場可能です。優勝賞金は150万ドル(約2.2億円)です。
全英女子オープン
この大会の正式名称はAIG女子オープン(AIG Women’s Open)で、男子の全英オープンと同じように名称の中にゴルフという単語は含まれていません。
1976年から開催されているこの大会は2001年からメジャー大会に昇格しました。メジャー大会になる前の1984年に岡本綾子選手が優勝をしていますが、メジャー大会になってから、2019年に渋野日向子選手が日本人として初優勝を飾っています。優勝賞金は135万ドル(約2億円)です。
エビアン選手権
1994年からスタートしたこの大会は全英女子オープンの前哨戦としてフランス・エビアンのエビアンリゾート・ゴルフクラブで開催されています。2013年にメジャーに昇格しました。優勝賞金は100万ドル(1.45億円)です。
シェブロン選手権
シェブロン選手権は、全米女子ゴルフのメジャーのひとつで1983年に全米女子のメジャー大会に昇格しました。
2015年から2021年まで全日空が後援して「ANAインスピレーション」として開催されました。優勝賞金は76.5万ドル(約1.1億円)です。
まとめ
日本のメジャー大会、そして世界のメジャー大会を紹介しました。一般に良く知られているメジャー大会は歴史が長く、賞金総額や優勝賞金も破格です。比較的新しくメジャーになっている大会もありますが、この大会はスポンサーが変わると名称が変わることもあり、メジャーとしての認知度が高くなっていないのが事実です。
ただプロゴルファーにとってはメジャー大会に参加できること、そして優勝することは、プロとしての名誉とプライドを得られるので憧れの大会であることは間違いありません。